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三度目の駅のホームは夏より人は少なかった。
私とユウ君はホームの端に追いやられた喫煙所まで言葉少なに歩いている。
移動中の歩きも、電車も、最後の食事中も、何でも話せていたのに急に話せなくなっていた。
それでも手は繋いでいて、時々目が合って、手を離す時は同時で。
私はバッグから煙草を出した。
そしてライターを探していると、ユウ君が火を点けてくれた。
「――ありがと。あれ?」
「これ、あれから使ってなかったんだ」
「何でよ。使ってよ」
何に? と言うユウ君に私は、そうでした、と苦笑う。
「……時間、まだまだだね」
「……うん」
私が帰る時まで、あと二時間。
何でこんなに早くホームに来たのかわからない。
けれどここに来なきゃ何をしていいかもわからなかった。
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