さよならとよろしく

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携帯電話で時間を見てはまたポケットに直して。 周りを見てはユウ君を見て。 「あっちは暖房ついてるみたい。移ろっか」 「うん」  ホームの真ん中には禁煙の待合室があった。 四方がガラス張りでベンチが置いてある。 私達はゆっくりと移動して空いているベンチに腰を下ろす。 外の気温の差が激しくて、一気に熱くなった耳を感じながらマフラーを外した。  何か、話してくれないかな。 何も……する事ないね。  ユウ君はさっきから携帯電話を操作している。  ――彼女?  気にならないふりをしてしても目線はそこに行ってしまう。 「――何か飲む?」 「俺はいいや」 「私何か買ってくるね」  いたたまれなくて私は席を立った。 また外に出て自動販売機前で財布を取り出す。 と、バッグの中で携帯電話のランプが点いているのに気づいた。
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