さよならとよろしく

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 ツバキさん?  画面を見て驚いた。 『何時頃こっち着く?』  用件はそれだけで、まさか帰って早々に奢ってくれるのだろうか、とちょっと笑った。 『八時くらいです』  そう返信して温かいココアを買った。 頬に缶をつけて休憩所に目をやると、ユウ君はまだ携帯電話をいじっていて。  ……長くない?  なんて思いながらも気にならないふりをして戻った。 「――ただいま」 「おかえり」  私がベンチに座ると、ちょうどメールも終えたようで携帯電話をポケットに入れた。  別にいいのに。  なんて強がりも見せないように温かい缶を両手で握る。 するとユウ君が手を繋いできた。 そのままユウ君が着ているブルゾンのポケットに一緒に入れられる。 携帯電話が入っている方とは、違うポケットに。 「……ちょっときつくない?」 「いーの。この方があったかいでしょ?」 「んー、ココア開けれない」
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