さよならとよろしく

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欲張りはいけないって事なのかな。 そうかも……だからどこかでずれるんだ。 私とユウスケみたいに。 ううん、私がずらしたんだ。 嫌いじゃないけれど、好きでいては駄目なんだ。 変だよね。 けれど私の勝手に、二人を巻き込んでも駄目なんだ。 どっちつかずでも――恋なのに。  表も裏も、ないのにさ……。  私は、そっ、と目を開けた。 いつの間にか向かい側に人が座っていて、新聞の端から私達を見ている。 少しだらけていた姿勢を正すとユウ君も気づいて私の肩から離れた。 ここは私達だけの場所じゃない。 ガラスの向こうには何本目かの車両が止まっては動いて、風を残して消えていく。 「――あ……」 「……掲示板に、出ちゃったね」  天井から吊るされているそれに、私達の最後の時間が記された。 二人してそれを見上げ、体を硬くする。  まだ、時間はある。  ……もう、時間がない。
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