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それから私はユウ君の靴の爪先を見ていた。
「――ハナちゃん」
ユウ君は私の腕ごと、私を抱き締めた。
――もう、無理。
我慢なんて、無理……っ。
私はユウ君の服を掴んで、泣いた。
額を合わせてきたユウ君は目に涙を溜めていて。
それを見た私は、さらに泣いた。
「……マジ、好きになって、よかった。ハナちゃん、来てくれて……ありがとっ」
「私も……よかった。好きになってよかった……ありがとう」
「――これで終わりじゃないからね」
「え?」
「ずっと好きだよ、ハナちゃん。これだけはずっと変わらないから……ね、ケータイ出して」
ポケットからユウ君は携帯電話を取り出した。
私も鼻を啜りながら携帯電話をコートのポケットから取り出す。
「……さっき、最後の言葉――」
そうユウ君が言ったと同時に、発車の笛が鳴り響いた。
「ハナちゃん」
ホームと車両。
そばにいるのに、線が引かれる。
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