始まりから

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入学までの数ヶ月は瞬く間に過ぎた。中等学校の復習や、これから通うキューベリック魔法学院についてなど、学ぶべきことは沢山だった。 入学に差し当たって、僕にはいくつか選択する事があった。 まず第一に学院には寮があり、全寮制ではないが希望により入寮することが出来た。 別に通えない距離ではないが、折角の機会だ。寮なんて中々住めるものではない。僕は安易な考えで学院に隣接する寮で生活する事に決めた。 そして第二に、学科選択だ。一学年のカリキュラムとしていくつかの専門学科の中から興味のあるものを選び、受講する。 僕はなんとはなしに、受けれるモノは全て選んでみた。 兄には「死ぬ気なのか」と言われたが、そこまで酷いのだろうか。不安だ。 せめて書類を郵送する前に言って欲しかった言葉だ。 そのほかにも、制服や杖やら、ローブの色やデザインまでも選ばされたが僕にとってはどうでもいいものだ。 面倒くさい事も終わり、入寮も済ませ、入学の日となった。 真新しい制服に袖を通し、なんとなく気恥ずかしい気持ちを片手に新しい生活のスタートラインに立った。 学院は広かった。広大な敷地の中に専用施設が多数あり、本館はそこまで大きくはないが、近代的であり、且つ不思議な空気を纏っていた。 僕はにやける顔を引き締め、校舎へと足を踏み入れた。
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