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まぁ物は使いようなのさ、ようするに知恵だ。人間が一番最初に出会った知恵は火を付けるというものだった。だけど時代は経て人と人が争うようになって、人は戦術という知恵を身に付けた。
俺もその知恵で相手を打ち負かすわけだよ。
そう思うと、有言実行とでもいうように、相手にカーソルと視点を合わせ、ソウルの名残を相手に投射する。
ちっ、惜しい。だが二つ目で当てた。
一発はローリングという回避行動で避けられたが、ローリング後のほんの僅かな隙に素早く二発目を投げると案外容易く当てる事ができた。
安心するのもつかの間、相手は即座に此方に刀を向け、突っ込んでくる。
俺は冷静に包丁を右肩から袈裟斬りを繰り出す。
吹き出す鮮血。そこそこダメージを与えられただろう。
俺は左下斜めにローリングを繰り出し、いったん距離をとる。
そして素早くコントローラーを操作、一礼のカーソルに合わせ、実行する。
すると、相手に執事とかがよくする左手を胸の前まで持ってくるあれだ、あれをお辞儀と共にするやつだ。
俺のコントロールするキャラクターがその一礼を相手に見せつける。
これは俺の紳士的な挑発だ。
これが意外と遣られた方はイライラする。まじで。
そうすると此方の睨んだ通り、相手はまた此方に突っ込んでくる、くる。
俺はかかったな、とほくそ笑みながら、相手の攻撃の一歩手前を読むために一気に集中を高める。
相手の足がこちらに一歩近づく、すると、その場に生えていた芝生の草がそっと風に舞う。
一歩また一歩、近づいてくる敵。
焦るな俺。まだだ、まだだぞう。
相手は斜め下辺りに刀を構えている、いつでも抜刀出来るためにか。
すると、また、ふっと、相手が踏みつけた緑色の葉が風に舞う――――――。
ここだ!!
その瞬間、前方に葉が舞い落ちる。
それと共に、光の軌跡を残しながら、振られる包丁。
ズシュ。
思ったよりもずっと低い音が俺の耳を通り抜ける。
吹き出す鮮血。
生命の素がまるで霧雨のように舞い、俺はふと、辺りには鉄の匂いがするのだろうか、と答えの無い疑問が浮かぶ。
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