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『またつまらぬモノを斬ってしまった…』
そう思ったのも束の間、相手は一度、四、五メートル程吹き飛びはするが、受け身をとり身を反転させると、体勢をすぐさま正す。
ち、流石に手練れっぽいだけはあんな。なかなか育ててんじゃねーか。
俺はほんの少し乾いた唇を舌で一舐めすると、このへんが潮時だろう、そう感じると、一度距離をすぐさま離す。
相手はどうやら回復アイテムを使って回復を図っているようだ。
俺はその隙に自キャラを走らせる。
芝生のところから崩れた石底に辿り着くと、一礼させる。
すると、相手の琴線に触れたか、×ボタンを押したダッシュで此方に向かってくる。
はは、かかったかかった。いやはやバカだねー。わざわざ向かってくるなら飛んで火に入る夏の虫だな。
さてさてそれでは、戦略撤退。おーばー。
心の中でほくそ笑み、黒いプラスチックの材質でできた、コントローラーを握り直す。
そして、自キャラを操作し、相手に背を向け、今度は上部の景色から見える、白い階段を登った先にある、走って、門を目指す。
崩れかけた門を通り抜ける。
俺が行きたい門はこれとはまた別物なため、特に興味はない。
白い階段の所まで辿り着いて、刹那、風切り音が耳に届く。
キタキタ来ましたよ、おーにさんこーちら。
すぐさまローリング行動をとり、その音がする方向には右にズレながら、前方回避を行う。サク、サク。
まるで、あの日、あの時に踏みしめた雪の音のような柔らかい音が耳に届く。
だがこれはそんな生易しい物ではない、これは射られた者を身体の内から壊す、魔法が矢先に込められた、アンデットの射手が好んで用いる矢の一つだ。
それが先程まで自キャラがいた場所に刺さった音が正体なわけだ。
俺の自キャラの右斜め前方七メートルほど離れたところに腰にボロボロの布を纏った、骨が剥き出しの状態、骸骨が立っている。
体長は二メートルはあるだろう。弓を放った後、残心をとり、弓を射終えた体勢で此方を青白く眼底を輝かせながら、まるで、魂を欲した悪魔のように此方を物欲しそうな目で見ている。
これが、デーモンズソウルの敵デーモン。
こいつを語るには一つの悲しい話しをさなければならない。
ある日、一つの城が霧に包まれた。
それと共にそこから多量の霧が発生してゆき、やがてそれは一つの大陸を覆った。
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