プロローグ的な感じ。

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二月十四日、午前七時半。 あぁ、そういえば、そうだ。俺はこの日、受験日当日という事もあり、家から出て数分、時間にしておよそ十五分程の街道を歩いていた。 先日から降り続いた、雪の所為も相まってか、いつも歩く、このバス停までのモルタルでできた、黒い道が新雪によって白く染め上げられていた。 その道を自分の人より少しだけ大きな足で足跡をつけていく。 冷えたキンとした空気が自分の身体を通り抜けていく度に、凍えるような感覚を身に受けて、思わず身震いする。 肌寒い中、俺の心は酷く心弾んでいた。 子供っぽい理由、だといったらそれまでだが、いつになってもこんなに綺麗で汚れのない世界を歩くのは誰だって楽しいと思う。 性格的に昔から脳天気な自分も相まって、受験日当日だというのにプレッシャーを感じてはいなかった所為か、こんな事を考える余裕が幾分にもあった。 朝、この時間はまだ人もいなく、この白色の世界の中で自分だけ、そして自分一人だけのモノだと錯覚してしまう。 思わず頬を緩ませながら、俺は会場へと足を運ぶ……が。 時間にもまだまだ余裕があり、少しだけ寄り道していこう。 そう思い立ち、ここから歩いて五分程の距離にある、幼少の頃によく遊んだ公園へと足を運ぶ。 受験当日に何をやってるんだか。 そうこう、考えている内に目的の公園へと辿り着く。 公園の入り口にあるオブジェを通り抜けて、端の方に置いてある、青色のベンチに向かう。 公園の中は真っ白だった。 クリーム色でバニラアイスを公園中にこぼしてしまったように真っ白で公園の中にある遊具も所々にあるオブジェにも、そして街灯の上にはちょこんと可愛らしく雪が積もっており、シトシトと降り続く雪の中をのんびりと足跡をつけていきながら歩いていく。 ギュッギュッ、踏みつける度にそんな音が足元から聞こえてくる。 誰もまだ踏み入れていないのだろう、綺麗な状態でその姿を現し、思わず、大の字になって、その世界に足を踏み込むように、自分の軌跡をそこに残しておきたくなるかのように身を埋めたくなる。 まぁ、こんな受験日にそんな事はできないんだけどね。 さすがにこんな日に制服が雪だらけになるのも憚って、躊躇すると、思いとどまる事に成功する。 。
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