プロローグ的な感じ。

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やはり、ベンチの上にも雪が積もっており、正直な事をいうと、ちょっとどこにベンチがあるのかわからなくて、なんとなく誰もいないのにうろうろとベンチを探す自分の姿が気恥ずかしく感じてしまう。 だが、幼少の頃から足を踏み入れている事もあり、なんとかその記憶を辿り、ベンチを発見する事に成功する。 そしてベンチの上の雪を払って、漸く、身を落ち着けると溜め息に羞恥心と共に吐き出す。 「……ふぅ、ってすげー雪。寒いよなぁ……あーっと、そういや……」 制服につく雪を少し振り払うと、鞄の中に入れておいた、魔法瓶の水筒を取り出す。 銀色の水筒の上部を回し、蓋を取り外すと、なんということでしょう、水筒の上部が匠の手によって、カップに早変わりするではありませんか。 そんな馬鹿な事を考えながら、カップに家で沸かした熱いお茶を注ぐ。 忽ち、コップは熱くなり、先ほどベンチを振り払った時に冷えた指がジンジンと心地よく暖められていくと共に、辺りにお茶の匂いが広がる。 日本人ならお茶漬け、お茶だよな。 そんな爺臭い事を考えながら、カップを口に近づけていく。 「あ、あち!…フゥーフゥー」 猫舌の為に思わね熱さに舌を火傷しそうになり、ちょっと焦る。 なんとか熱さを和らげようと息を吹きかけてみるが、無駄だろう。俺は猫舌でもかなり重度な猫舌だから。 漸く、お茶が少し冷えた所で、口に運び直し、お茶を飲み込む。 その時びびってしまって恐る恐るという風になってしまったのは内緒だ。 お茶を口に含むと、苦く、仄かな甘味が口の中を優しく刺激する。 喉を通る時の滑らかさといい、この飲めば飲むほど、癖になるこの深い味わい、お茶を生み出してくれた、日本人に感謝する。 割と本気に。 「良い仕事してますねぇ~」 思わず、熱いお茶を飲んだ時にそっと一息吐くついでにどこぞの鑑定人の様なというか、まんまパクった台詞を吐く。 とても綺麗な空気の中でお茶っつうのもなんだかいいよな。 山の頂上とかで食べる弁当の美味さと一緒で、空気が綺麗なところだと、味覚が先鋭化するんだろうか。 それに周りに音が余りないのもそれもあるかもしれない。 だらだらと、しながら意味のない事をだらだらと、考える。
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