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「……悪い、えっと悪かった……この通りだ……」
出来るだけ申し訳無さそうな声で彼女にいうと、彼女はつれなく視線外すと溜め息をそっと白い雪を吐く。
返事は来なかった。
こりゃ何か彼女のご機嫌を完璧に損ねてしまったようだな。
なんてーか、なんつーか、どうするか……
何か話題話題。
女の子の相手が余り得意とはいえないし、とゆうか、幼なじみの梓とクラスメイトの女子数名とくらいしか言葉を交わさない自分なため、正直話題っていうのが思い浮かばない。どうするか。
「……あんたはここで何をしてんだ?見たところ、結構長い間……いるみたいだけど?」
正直、こんな話題しかでてこなかった、俺はどれだけ口下手なんだろう。
長い間、彼女が此処にいたと何故わかったのかというと、彼女の頭と、肩にやんわりと雪が積もっていた。
俺は結構雪を払いたくてやきもきしてたんだが初対面の女性に触れるっていうのはなんだが、軽い男と彼女に思われたくなくてヤキモキしながら我慢するしかない。女性の諸君すまん。
俺は正直、返事は期待してなかった……が、どうやら返事がもらえるみたいだ。
言葉をぼそぼそ呟いて、聞き取りづらかったがなんとか聞き取れた。
「……べ、別に貴方には関係ないでしょ…」
そう言葉を返してくる。たしかに。
まぁ俺にはなんも関係ないが、気になるもんは気になるし、なんだが彼女のその焦った風に取り繕う言い方になにやらやましい理由でもあるんじゃないかと、好奇心半分、いたずら半分で言葉を返す。
「……ま、まぁ、確かに俺は関係ないけど、なんつか、その姿見せられると、興味も持つだろ?」
「………フンッ…」
そう鼻を一つ鳴らしたかと思うと、猫がご機嫌を損ねた様にそっぽ向く。
俺は内心、結構楽しんでいた。彼女とのこのたわいのない言葉の掛け合いを。
面白くて、なんだが、新しい玩具と言っては猫みたいな彼女に失礼だが、何か楽しい、というモノを秘めている、そんなモノを目の前にしている。
そんな気がして。
ちょっと笑いを堪えながら、彼女に言葉を返す。
「……悪い、悪い。そう怒んなよ?んでなんでなんだ?」
彼女は顔を猫に視線を向けたかと思うと、今度は此方に向けと交互に視線を向ける。
その仕草自分的なツボなんすけど。
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