~Day5~

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~Day5~

町医者の観察記録 第一段階 患者の意識はまだはっきりとしているが、若干の発熱と白血球の絶対数の増加が認められる。加えて、頻尿、倦怠感、抑鬱、筋力の増加といった諸症状が発現するが、これには個人差が非常に強い。 第二段階 意識が若干不明瞭になり、ほぼ例外なく言語障害が発現する。倦怠感は持続するが、一方で異常な食欲を示すようになり、食欲の増加に伴い攻撃性と筋力が飛躍的に増加していく。まるでアナボリックステロイドなどの筋肉増強剤を投与したようである。 第三段階 一気に劇症化し、人事不省に陥る。しかし脈拍、および血圧は異常な速さ、高さを示し手の施しようがない。 第四段階 脈拍および呼吸の不可逆的停止と瞳孔散大が確認される。対光反射、調節反射も喪失し、色濃く死斑が現出する。完全な死亡である。第三段階から非常に短期間のうちにこの状態に至る。 第五段階 異常な食欲、攻撃性はそのままに、蘇生する。第四段階から蘇生までの期間は個人差が強く、現在確認した中では、最短で5分、最長で72時間である。原因、生化学的作用は一切不明。ただし、対光反射を取り戻していることと、覚束ないながら歩行しており姿勢反射の回復を予想できることから、少なくとも脳幹の活動は復活していると思われる。しかし、死斑は非常に緩やかに消失するにすぎないため、心肺機能は依然停止したままであると考えられる。
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