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ピピピ、ピピピ、ピッ…
うるさい電子音が耳に付く。まだあと五分なら……五分だけなら大丈夫――
「――って何時だ!」
―-8:30
デジタル時計のディスプレイには、そう表示されていた。
「遅刻コース確定…かな?」
*****
またやってしまった。というか、殆ど毎日の事だった。だから"また"と言うのすら、おこがましいレベルだ。
「ゼェ…ゼェ…」
全力疾走したせいで肩で息しながら席につく。
「おはよう鈴。今日は一段と急いでたね」
苦しい胸を押さえながら顔を上げる。そこにはいつもの私の友達の顔。薫の顔があった。
「おはよう薫。今日は目覚まし気付かないし最悪だよ」
「自業自得じゃないそれ?」
薫にごもっともな事を言われる。しかし返す言葉が無いだけに、溜め息をついた。
すると一拍置いて、いつものタイミングで教室のドアが開き担任が入ってくる。
「ホームルーム始めるぞー」
担任が言うとクラスメート達が、一斉に席についた。そして普段通り礼をして着席する。
「いきなりだが今日からこのクラスに転入生が来る。」
担任がそう言うとクラスがざわつく。私は悪い予感しかしないんだが。
「静かにしろ。では新たにクラスの一員となる須美津君だ」
予感は見事に的中。
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