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「ふーんそうか」
一通り話をすると、月兎は気のない返事をする。それからボールペンをグルグルと回しながら退屈そうにしている。
「こっちは真剣にねぇ!」
「私だって真剣さ。つまりお嬢さんは最近、友人の性格が急変した原因をしりたいと?」
説明した事を月兎が掻い摘み言って、私の文句を遮って言った。
「はい、そうですけど……」
「お嬢さん、それ只の交遊関係の変化って事は無いかな?」
「私もそれは考えましたよ。でも以前は優しい子で…そんな子が突然、暴力的になったんですよ?」
虫も殺せないような性格だった彼女は打って変わって、罵詈雑言を撒き散らすようになったのだ。これを可笑しいと言わずしてどうする?
「ふーん……何か心当たりは有るかい、お嬢さん?」
回していたペンを止めて、カウンターに置くと月兎は私の目を見て言った。
「いいえ…あまりに突然の事で。ちょうど一週間前頃からなんですが」
私は申し訳なさそうに答える
「うげっ……それじゃヒント無いのと……」
「月兎お茶です。鈴さんもどうぞ」
苦虫を噛み潰したような顔をした月兎の言葉を遮り、お盆を持って現れた久良木さんが限りなく爽やかな笑顔で言った。
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