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「おはよう久良木」
寝癖はそのまま。正直言えば直す気にはなれない。低血圧の頭には血が行き渡らずに思考が鈍い。
したがい眠い。
「おはようございます月兎」
「朝飯」
久良木の挨拶に対し間髪入れずに私は言った。どうも昨日のアレから気分が優れない。
「ベーコンエッグで良いですか?」
「うん、ハーブティーね」
「了解しました」
クサイぐらいの笑顔で久良木は私に確認する。手慣れた具合に返事をして追加注文。
「おはようございます。お嬢、久良木兄」
義鷹が朝から騒々しくもとい元気良く挨拶をする。
「おはよう義鷹。もう行くのかい?」
「はい! もうすぐで遅刻っすよ」
なら行け。
まあ足止めしてるのは私なんだけど。
「おう義鷹、一つおまじないをやろう」
半ば起きてない頭で聞こえるかどうか解らない声で私は言った。
「おまじないっすか?」
首を傾げて義鷹が聞く。良い態度だ生徒として及第点。
「Zu Ende sehen,Zu Ende denken最後まで見て究極まで考えろってね」
「あいさーお嬢!」
私の話を聞いてから、脇目もふらずに義鷹が勢い良く飛び出した。
「いってらっしゃい」
聞こえてないと思うが、一応言っておく。
久良木が冷蔵庫から材料を取り出し手際良く調理していく。卵の黄身は半熟に、ベーコンはカリッとするように焼かれていく。
「月兎、朝食出来ましたよ」
久良木は私を呼びながら朝食を運ぶ。
「うーむ……すまないな久良木よ、私はもうダメだ」
眠気が限界の私は睡眠欲にしたがい眠りに落ちる。欲には逆らうなという事だ。
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