君の目が

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「貫汰!お前またタイム縮んだな!」 「はぁっ…まじでっ?…やった!」  走るのは楽しい。面白い。気持ちいい。俺は中学の頃から陸上部で、自慢じゃないけど、陸上の推薦でこの高校に来た。…いや、ほんと、自慢じゃないよ?  でも、はっきし言って、学力がついていけてないんだよね。運動ばっかやってると、絶対勉強の手が緩むし。俺不器用だから、両立とかできない人なんだよね。 「じゃーなー貫汰ー」 「おー、じゃあな」  部活が終わるのが6時半。整備して、着替えて、学校を出るのが7時。そこから電車に乗って、家に着くのは大体8時前くらい。  いつもそんな生活してる。下手すりゃもっと遅いときだってある。こんだけ夜遅くに帰って、飯食って風呂入って寝る。勉強する時間なんてない。  今日も何時もどおりの電車に乗る。ホームには、帰宅するサラリーマンや、学生が並んでいる。うちの高校の生徒もちらほら居る。  別に、何時もどおりだ。何も変わらない。ふらふらっと歩いて、適当な列に並ぶ。  すぐに電車が来て、キキキィッと甲高い音を響かせながらホームに滑り込んでくる。  人の波が次々に流れ込む。すぐに電車はパンパンになる。俺は、扉側の壁にもたれ、扉の隣についてる手摺りに体を預ける。  退屈な電車内。こんな時は人間観察しかない!楽しいからね。
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