君の目が

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 …あ、あのパンクなお兄さん、立ったまま寝てる。頭がカックンカックンしてる。あ、起きた。つまんないの。  …あ、あのおじさん、椅子のスペース使いすぎじゃない?二人分は座ってるよ。きっと。  はっ、あのお姉さん脚キレー…。すらってしてる。すらっと。長くて綺麗な脚だなぁ…。  いや、俺だって健全な男子高校生だもん。生足に見惚れない男子高校生は居ないよ。  キョロキョロと自分の隣に設置してある座席に座ってる人達を眺めていると、一番手前の、要するに俺の隣で座ってるお兄さんが目にとまった。学生、しかもうちの高校。  何で目にとまったかと言うと、すごく綺麗だったから。本読んでる姿が超様になるっていうか、まつげが長いんだよね。綺麗。 「……何」 「え?」 「顔覗き込んだでしょ、何」  俺は無意識に、彼の顔を覗き込んでいたようだ。自分でもびっくりした。 「あ、いや、別に…」 「…君、陸上部のエースじゃない。こんなとこで僕みたいな初対面の男の顔覗き込んでたら、変な噂流れちゃうよ。」 「えっ…」 「あ、流してあげようか?」  俺はその言葉に勢いよく首を横に降る。なんか、変な奴だったみたい。めんどくさいんじゃね?こいつ。  でも、こちらを向く顔は、しゅっとしていて、キリッてしてて、整った顔をしている。肌が白くて綺麗だ。ほんと、美少年の部類に入るんじゃないかな。男でノンケの俺から見ても綺麗だと思うし。しかも黒縁眼鏡。 「陸上部のエースがゲイとか、笑えちゃうね」 「違うって!誤解じゃんかよ!」 「何が?電車内で…」 「うだーあ!もう!」 「うるさいなぁ」  無駄に落ち着いているこいつに無性に腹が立つ。何だよ、電車で椅子に座って本なんか読んで。分厚いし文字ばっか、何が面白いんだ。
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