君の目が

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「あ、君、もしかして本当に」 「ない!」 「なんだ、つまんないな」 「……お前、名前は」 「人に名前を聞くときは自分から名乗るのが、マナーなんじゃないの?」 「……2年C組、揮野貫汰」 「はは、知ってるよ、僕もC組だし?」 「…え?」  校章の色からして、俺と同じ学年だ。えっ、クラスメイトなんだけど。知らないんだけど。  こんな奴うちのクラスに居たかな、なんて考えても、教室で見た覚えが全くない。俺の記憶違いかな…?  え、てか何で名乗らせたの? 「あ、僕のこと知らないのは無理ないよ。だって教室に居ないんだもん。学校には行くけど、教室には入らないって日が殆どだし。」 「…そっか」 「僕の名前は、河菱 博。」 「よろしく…」 「うん。よろしく。」  律儀に挨拶を返して、持っていた本に栞を挟むこいつ…、河菱。その動作がやけに綺麗に見える。  ナンダコレ、こいつがする事する事、いちいち綺麗だな。フェロモンむんむんって感じ。女から見たら堪らないんだろうな。男の俺も不覚にもときめいたもの。  なのに何で髪はボサボサでシャツもしわくちゃなんだ、勿体ない。宝石がボロ雑巾の上に乗ってるようなもんなんじゃないのか。  あれか、一人暮らしってやつか。田舎育ちですが出てきましたみたいな。全然そうは見えないけど。取り敢えずどう見ても一人暮らしじゃん、こいつ。
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