プロローグ

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翌朝、法子はいつも通りの時間に目が覚めた。 AM05:57 デジタルの目覚まし時計はそう指していた。 この3分後にアラームが鳴る設定にしてある。 しかし、ここ最近彼女がそれに頼ったことはない。 彼女は体を起こすと、隣で寝ている夫、立松竜介(タテマツリュウスケ)に目を遣った。 深まった秋の空気が少しだけ身体を震わせた。 今日は早くから出る必要がない日だったはずだ。 おはよ、と返事をすることのない夫に一言言ってベッドから出る。 立松家は10階建てマンションの7階。 3LDKで3人家族の立松家には広いようにも思われる。 だが実際のところは、各々が部屋を持ってそれなりの家具を配置すると、生活するのには丁度良い程だ。 彼女はすぐに洗濯機を回し出した。 そしてキッチンに立ち、自分と一人息子である、立松海斗(タテマツカイト)の昼食となる弁当を作り始めた。 最近は自然解凍ができる冷凍食品が増えた為、一層作る手間が省けるようになった。 30分あれば、2人分の弁当など直ぐ出来る。 弁当を作り終えると、次は息子を起こしに行った。 部屋の扉の前に立ち、軽く2回ノックする。
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