プロローグ

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朝の家事に使う時間は1秒ですら惜しまれるものであり、ゆったりしている時間など当然無い。 法子は慌ただしく洗濯機から洗濯物を取り出す。 今の時代、乾燥までしてくれるものもあるようだが、立松家では普通の洗濯機だ。 やや使い古しているためボロくなっているが、まだまだ現役だ。 しかし、やはり朝の時間というものを考えると、その面の存在というものはかなり大きい。 法子はベランダに出て、洗濯物を1つずつ迅速かつ丁寧に干す。 この丁寧さを怠ると、シワができてしまい、かえって手間になる。 このことを忘れてはいけない。 だが、20年近く主婦をこなしていると、こういった作業はお手の物、最早体が覚えてるくらいだ。 あっという間に干し終わり、再びキッチンへ。 ダイニングでは海斗が朝食を食べ終え、食器を下げて来た。 ‘食べ終えたら、自分の食器は自分で下げる’ これも法子が口酸っぱく言ってきた言葉である。 勿論、法子の揺るがない教育方針の1つだ。
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