プロローグ

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法子とて例外ではなく、時間が無い時は「仕方がなく」守れない。 急ぎの時にそんな細かい規則など気にしていられない。 守れる時に守りたい人が守ればいい。 流石に子供にまでそんなことを教える訳はないが、そういう部分は何故か知らぬ間に受け継いでしまっている。 子は親の背中を見て育つとはよく言ったものだ。 法子が運転する車は若干のスピードは落とすものの、それでもまだ勢いのあるまま交差点を左折した。 遠心力で体が傾く。 この辺りは大通りになっていて、その分こちら側の車線は車が多い。 法子と同じように通勤に急ぐ車なのだろう。 しかし、ここは車がよく流れている。 その理由はわからないが、台数の割に渋滞が起こることは滅多にない。 おかげで、そこは彼女の通勤ルートになっている。 運が良かったのか、暫く間止まることなく直進することができた。 そのおかげで、遅れを取り戻せた。 とは言っても、アウトがセーフに変わっただけ。 法子は7つ目の信号を右折した。 この時信号機は黄色だったが、それに構うことはなかった。
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