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「む、客か?」
スサノオは玄関に見慣れない靴があることに気付き、言った
「ああ、アマテラスの部屋にいるよ」
返事をしたのはツクヨミ。やたらイケメンである
「へぇ、誰?」
「ヤゴコロさ。別に大した用じゃないだろう」
────
「へぇ、最近また『あいつら』が」
アマテラスは煎餅をかじりながら言った
「そうよ、私の本だって盗られたんだから」
ヤゴコロは頬を膨らませて言った
「・・・そうね、『あいつら』ならツクヨミに任せれば充分よ」
「あら?ツクヨミはそんなに争い事は好きじゃなかったんじゃ」
「大丈夫よ、『あいつら』はツクヨミの大好きな・・・」
「・・・ああー」
ヤゴコロはにやりと笑った
───夜
「って訳でツクヨミ。ヨロシクね!」
アマテラスはツクヨミの肩を叩いた
「えー・・・用するに『酒呑童子』から本を取り返せ。と?」
「そうよ。簡単でしょ?」
「やだよ。あいつら鬼だろ?どんな奴か見たことねーし」
「私は見たことあるけど害は無さそうよ」
「・・・害がないなら行く」
「頑張ってね~」
────
「天姉、どうして月兄に行かせたの?」
「フフフ・・・酒呑童子はね・・・」
───
「おお・・・おおお・・・!」
ツクヨミは嬉しそうに声を上げた
目の前には
「おお!いい指輪!」
「ダメだよお兄ちゃん。イヤリングにしようよ」
小さな男の子と女の子がいた
頭には鬼であることを示す角が生えている
「じゃあ、早速・・・」
「────かあいい!」
「ひゃう!?」
ツクヨミは二人の鬼を抱き締めた
──────
「酒呑童子の容姿は小さな子どもでね。ツクヨミの趣味と一致するんだ」
「ああ、確かに月兄の子ども好きは異常だね」
がらり
玄関が開けられる
「やあ、帰ったよ!」
ツクヨミの両脇には眠ってしまった酒呑童子がいた
「遊んでたら眠ってしまってね。連れて来た!」
「連れて来た。がワケわからない。また面倒事を・・・」
アマテラスが悩ましげに頭を抱える
「まぁ冬だし外に放って置くのも可哀想だったしな」
「・・・まぁ天姉、寝かせる位支障は無いでしょ?」
「まぁ無いわね」
「天姉が働いてくれればいいのに」
「やだ面倒」
「とりあえず布団を敷いて寝かせるよ」
押し入れから布団を取り出し、酒呑童子を寝かせた
「ところで盗まれた本は?」
「ああ、コイツの風呂敷のなかに・・・あった。これだろ?」
「なんの本かしら」
アマテラスが本を開く
徐々にアマテラスの顔が赤くなる
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