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「こんな症状は見たことがない………坂口先生の見解は？」
書斎のパソコンでライブリンク画面を見ながら、原田はワイプされた若い医師に質問した。彼は憔悴も著しいらしく、落ち窪んだ目に浅黒いクマをつくり、髪もボサボサであった。
画面の中で彼は書類をめくると、額をぬぐいながら答えた。
《内因性の可能性を指摘しています。２日前に理科研から報告があったんですが、カンファレンスがまとまらずに大揉めでした》
「じゃあ彼は、この報告を支持したのか？生体培養検知にも見落としはある………必ずプリオンの痕跡はあるはずだ」
《そう信じたいですよ………でも原因がわかったとして、クランケ(患者)の全体壊死を止める方法がありますか？僕にはとても………》
「希望を捨てるな横山。保険局のトップと会ったら選別隔離を無理にでも通してやる、それまで頑張れ」
《………お願いします………》
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