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「李麗、起きて」
穏やかな、且つ懐かしい声に李麗は目を覚ます。
「おう、おかえり」
ニヤリと笑う李麗に笑みをこぼして頭を撫でた。いつ見ても我ながら可愛い妹だと思う。
「いつ帰って来たんだ?」
「ついさっき。…お友達来たんだって?」
「今日会ったんだ。スッゲェ良い奴」
「…で、今何処に」
「此所」
李麗が布団をめくると、ダークブルーの髪の少年が寝ている。…不覚にも頭が真っ白になった。
「…今迄、一緒に?」
「おう」
一瞬、不良かと思った。苦笑しつつ、思わず沸いて来た冷や汗を拭う。
「大輝、起きろ」
李麗が体を揺する。微かに呻き声をあげて少年が起き上がった。李麗が眼鏡を渡してやると礼を言って眼鏡を掛ける。切れ長の眼には知的な風があり、思わず安堵した。
「兄ちゃん」
「初めまして。広神大輝です」
「初めまして。ご丁寧にありがとう」
そう言って顔を上げた大輝は何処かで見覚えのある顔だ、と首を捻る。不意に襖が開き、三人の視線が一斉に襖に集まった。
「鏡夜、帰って来てたのか…?」
「準夜じゃないか。おかえり」
同じ顔。呆然としている大輝に李麗は
「うちの兄ちゃん、双子」
言ってなかったか、と付け足す程度にあっさり李麗は言い放った。
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