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「調子はどう?」
「大丈夫…です。えっと」
何があったのか少女は理解が出来ない様で混乱を露にうろたえた。
「アンタ、異形の中に居たんだ。覚えてねぇか?」
李麗がその顔を覗き込む。少女は息を飲んだ。
「異形の…中!?」
「覚えてないんだね」
少女は頷いた。
「友達と別れて…それからは」
ゆるゆると首を振る。李麗がなだめる様に少女を撫でてやると少し落ち着いた様で顔を上げた。
「とにかく気が付いてよかった」
「なぁ」
「有り難う…私、成瀬遥菜です」
「僕は大輝」
「李麗ってんだ。宜しくな」
遥菜はゆっくりと深呼吸する。漸く動揺も落ち着いて来た。
「二人共、有り難う」
遥菜はふと、この三人でいる事に不思議な安心感を感じて居た。
大輝と李麗は顔を見合わせ、笑った。
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