守護体

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不意に吹き付けた風に二人は足を止めた。木々のざわめきが止み、悪寒に肌が鳥肌を立てる。 「此所でもかよ」 李麗はリュックを地面に置く。 「割りとよく出るよ」 大輝の台詞に李麗が「先に言えッ」と文句を垂れるのが聞こえた。ゲージを開けてやると柊護が飛び出て呑気に見振るいする。 いつまで経っても聞き慣れない異形の声に二人は顔をしかめた。 「転ぶなよ」 「分かってらい」 李麗の様な行動派は間違なくこう不得手な場面でトラブルを冒すタイプだ。 異形が飛び掛かって来る。大輝がトンファーで迎え撃つ。木が邪魔で槍のリードが活かせない(術は山火事を引き起こす恐れがある)李麗は異形を蹴り飛ばしていた。吹っ飛んだ異形を巨大化した柊護が前足ではたき、とどめを刺す。 不意に粘着質な物を踏んで、李麗は引き込まれる様にして姿勢を崩し、尻餅をついた。 「痛ッ…」 何を踏んだのかと足下を見た李麗の顔が凍り付く。 「な……んだよ、これ」 ゲル状の異形が李麗の脚に絡み付いていた。瞬間、得体の知れない恐怖に思考が染まる。 「やッ…大輝!大輝!」 普段耳にしない李麗の高い声に大輝は振り向く。 「李麗!」 大輝が李麗の元に着く時には異形は既に腹部を覆っていた。李麗は言葉を失い、酷く狼狽している。 大輝は必死に頭を働かせた。 唯一思い付くのは異形ごと李麗に術をかける、だが術の加減が出来ない大輝が行えば……最悪の事態が目に浮かぶ。 (…糞っ!) 大輝は唇を噛んだ。 口内に鉄の味が広がった。
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