守護体

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「おほ、来たの」 逆光を背に光輝が孫とその連れを迎える。眩しい、と――何が、とは敢えて言わないが――李麗が顔をしかめた。 「ただいま」 大輝は力を抜き、両手の荷物を降ろす。『フギャア』と柊護の悲鳴がゲージからした。慌てて大輝が覗き見るとゲージの奥――大して奥行きのないと言うのに――白い物体が固まっているのが見えた。 思わず二人は苦笑した。 何処かの別荘の様だ。と李麗は感嘆の息を吐く。一方大輝はまた掃除をしていないなと溜め息を吐いた。 李麗を客間に通し、取り敢えず自分の部屋に向う。 「爺ちゃん!」 普段は冷静な大輝に似合わない大声に李麗は思わず茶を吹いた。怒り浸透と言った大輝の目を見て目を丸くする。 「何かあったんか?」 大輝は冷静になろうと深呼吸を繰り返す。 「…何時から僕の部屋はごみ捨て場になったんだ」 「生ゴミじゃないだけマシじゃろ。第一儂はゴミなんぞ捨てとらん」 二人の喧嘩を後ろに、李麗は大輝の部屋へ向かう。 「……は?」 思わず間抜けな音が口から出た。 「……プチゴミ屋敷?」 「失礼な。物置に使っただけじゃ」 だとしたら、そのつもりなら。置き方が間違ってる。 先ず始めに箪笥が『ヨウコソ!』と言わんばかりに立ちふさがり、微かに見える隙間からはストーブ(木炭)が垣間見え、更に向こうには炊飯器が顔を覗かせている。 難攻不落。ゴミ屋敷を目の前にした撤去作業員はこんな気分なんだろうか。 いきなりの長期外泊の報復……あまりのレベルの低さに大輝はこめかみを押さえた。
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