守護体

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『帰って来い。話がある』 揺れるバスの中、携帯から聞こえた祖父の声を思い出して大輝は軽く舌打ちをした。帰って来た結果、それらしい言葉はひとつも――何日も泊まったというのに――聞けなかったのだ。 (肝心な事何一つ――) ガタン 山道特有の大きな揺れ。 人気の無い車内に響くのは枯れた猫の鳴き声。そして大輝の肩に頭を預けたその飼い主の静かな寝息のみ。
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