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「…僕の『守護体』なんだ」
本来守護体は常人に話すべきではない話なのだが李麗には異形が見えていた様なのでそこは置いて置く事にした。
案の定、李麗は面白そうに目を細め、腕に抱いた猫を見やり次いで大輝に向かって見せる様に軽く寄せる。
「コイツ、オレの守護体」
「…へ?」
思わずらしかぬ声を出してしまって、大輝は軽く赤面し眼鏡を掛け直した。
「いいな、お前の。賢そうじゃん」
李麗が窓を開け放ち大輝を振り返る。意味している事に気付き大輝は頷き、電柱の呉射に向って左腕を延ばした。
しかし、当の呉射は時折困った様に鳴くだけで一向にこちらに飛ぼうとしない。――李麗は腕に抱いた白猫を軽く睨んだ。
「てめぇ、そんな目したら大輝の守護体がこっち来れねえだろうが」
真っ白なチンチラは目を輝かせて電線の烏を見ている。そんな様子に李麗は小さく溜め息を付き。
「…ゲージに突っ込むぞ」
するとその一言で今迄大人しくしていた柊護が突然激しく身をよじり出した。
李麗は慌てた様子も無く柊護を床に放す。『ミィ~』と微かに枯れた鳴き声と共に彼は廊下に姿を眩ました。
「…」
一連の出来ごとに言葉もない大輝に
「これで寄ってくるだろ」
李麗はニヤリと笑って見せた。
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