出会い

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小枝を拾い、李麗は握った手に念を込めた。小枝が光を帯び、大きな槍になる。 「掛かってこいや」 異形が奇声をあげて襲って来る。李麗は体全体を使い、槍で群れをなぎ払う。 吹っ飛び、地面にたたき付けられた異形は形を無くし、地へ帰る。 「相手になんねぇな」 思わず鼻で笑う。雑魚の内にも入らない。李麗は槍を扱くと異形の群れへと突っ込んだ。 息を極限まで吐く。構えた両手から熱い力が生まれるのを感じた。召喚したトンファーを異形に向って振るう。 手に伝わる鈍い感触。怯んだ異形を上空で待機して居た呉射が嘴と爪でとどめをさす。 微かにずれた眼鏡を掛け直した大輝は李麗が異形の群れに突っ込んで行ったのを見て青ざめた。 危ない。 頭の中で誰かが警告した。 瞬間、地面がうねった、様に二人は思った。次には衝撃が体を襲い、二人は宙に投げ出された。 大輝は次の地面に叩き付けられる衝撃を想像して固く目を瞑った。その時、微かに李麗が何かを叫んだのが聞こえた。 『ミィ』 大輝は目を見張った…体は地面でなくフカフカした毛に埋まっている。しかも何処かで聞いた猫の枯れた鳴き声まで聞こえる。 「…柊、護?」 巨大化した李麗の守護体兼飼い猫が、二人の体を受け止めて居た。 「ナイス、柊護」 飼い主に褒められ、柊護は喉を鳴らした(巨大化の影響か、喉の音も半端ない)。 「李麗…」 「あ?」 大輝の予想外に深刻な声に李麗は振り返った。大輝は先程異形の群れが居た所を睨む様に見て居る。視線を追った李麗は目を見張った。 「な…んだよ、あれ」 合体したのだろうか、3mはある巨大な異形が立って居た。そして中央に 異形の薄くて黒い、透けた身体の中に同い年程の少女がうずくまる様に取り込まれて居るのが見て取れた。
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