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いくつかの春が過ぎ、夏を迎える頃…
彼女を見かけた
アスファルトに太陽が照りつけ、乾いた砂埃が舞った
遠くから古紙回収車の音がのどかに聞こえ、公園の脇を金魚売りが通って行った
鮮やかな赤
風鈴の涼やかな音色が、まさしく夏だった
そのかげから…突然現れた様に彼女が立っていた
中学生になった彼女は背が伸び、肩までの髪も背中に垂れ、白いリボンが清楚だった…
僕も一浪した大学生になり、髭も生やし髪も長くなった
就職活動もせずに、夜になれば仲間とギターを弾いたり、たまに大学に顔を出し、極たまに酒も飲む様になった
彼女は少し痩せ、透き通る様な顔が上気して…まるで外国の人形みたいだった
すぐには分からず怪訝な顔をしていたが、急に思いだした様にパッと表情を変えた
「あの時のお兄ちゃん?」
「うん」
笑った顔にえくぼが出る
他愛のない話を二言、三言交わし彼女は去って行った
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