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女の子はこの街が好きだ。
大切な家族がいて、友達もいる。学校の先生も優しくて街の人たちもみんなみんな温かい。
何より大好きな桜の綺麗な通学路を女の子はいつものように、楽しそうに駆けていた。
そんな風に走っていたら、プチっと足元で何かが潰れる音が聞こえた。
女の子はびっくりして足をそっとあげてみる。
そこには女の子に踏まれて死んでしまった小さなミミズがいた。
「……あ……」
女の子は死んでしまったミミズに小さな罪悪感を覚えた。
「あー!!」
すると女の子のそんな様子を見ていた男の子の集団が突然叫んできた。
「可哀想だよなぁー!!生き物殺しちゃいけないんだぜーっ!!」
「そうだぜ!!うわっ潰れてきたねっ」
「ミミズ殺しだ!ミミズ殺しだ!」
男の子たちは女の子をたかるようにして、何度も何度もからかった。
女の子はさっきとはうって代わって無表情でミミズを見つめていた。
自分が踏まなければミミズはもっと長く生きることが出来て、幸せになれたのかな?
何故かそんなことが脳裏に過る。
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