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“行け”
その一言だけだ。
「ああ、早くこの状況をなんとかしなきゃいけねぇしな」
待っていても滅びの時は迫るだけ。
同じ道を失敗したら歩むことになるだろう。
だけど何もしないで諦めるよりはマシだ。
「ありがとう……」
「何だよ?急に……」
亜由美の突然の礼に一馬は意味が分からず真意を問いかける。
「ただ……言いたかったの」
そう言って亜由美は一馬の方を見ながら薄く笑いかけた。
(貴方は……私を恨んでいるハズなのに……いや……高橋君だけじゃない。みんな私を恨んでいるハズなのに……誰も誰一人憎しみに負けなかった……本当に凄い人たちね……だから……この一言だけは言いたかった……)
亜由美はその想いを心だけに終い、核の増幅する場所にまた目を向ける。
「行くわよ!!」
「ああ!!」
亜由美の呼びかけに強く頷く一馬。
「待って一馬、未夢も行く!!」
行こうとした二人の前に急に現れたのは未夢だった。後ろには太一もいる。
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