第二十六話

19/52
前へ
/399ページ
次へ
そこには希望などというものは絶対的に存在していなく、ただ滅び行く時を待っているものしか存在していないようだった。 だが、そんな中あまりにも輝いている光が目の前で笑っている。 「やっと、見えてきたってことか――」 エースは今の状況を楽しむような笑みを見せてただ呟いた。 黒い狂気の雨は未だに降り注いでいる。 「本当に楽しそうだな……“魔王”の“狂気”を奴が消してもこの侵食し始めた闇は止められねぇぜ?」 和哉はエースに薄く笑い返しながらそう言った。 「言う割にはお前も楽しそうだな?」 「ゲームは、邪魔が入らねえとつまらねえもんだからな」 笑う和哉にエースは短く問う。 その問いに和哉はまた直ぐに返した。 「戦いはゲームとは違うぜ?もっと、熱く、楽しいものだ」 まるでソレを教えるかの如く、エースはゆっくりと言葉を紡ぎ、炎の刃を和哉に向ける。 「戦いを楽しい、なんて言うお前は俺以上にイカれてるぜ」 向けられた刃を打ち払うように紫の刃が炎を取り巻く。
/399ページ

最初のコメントを投稿しよう!

182人が本棚に入れています
本棚に追加