第二十六話

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黒い闇に包まれた狂気の階段を一歩ずつ登っていく。 「この頂上に……この世界の“狂気”の塊を集めたのか?」 「ええ、その通りよ……」 一馬の問いに短く頷く亜由美。 「大丈夫、憎しみに負けない心を持つ貴方たちが協力してくれるなら――必ず、封じることが出来るわ」 亜由美のその全てを信頼した言葉は今まで刃を向けあっていたとは思えないほど、強く頼もしい言葉だった。 「――そうしねぇと、意味がねぇしな」 一馬は言って軽く笑う。 本当は笑えてるかは分からない。 でも、こうして伝わった気持ちがあったことは“嘘”ではない。 「……桜田、今でもこの世界は悲しいか?」 「……そうね。高橋君たちがこれから生きる世界もそう……人はそう簡単には変われないから」 亜由美は決して綺麗事を言わない。 ただ自分の真っ直ぐな気持ちを率直に述べる。 「……でも、それでも――生きる世界を貴方たちなら選べる……そう思ったから託すの」 だんだんと頂上が目に映ってきた。image=418963866.jpg
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