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「そこまでだ。もう頂上だ……大事な話はあとにしろ」
そう言って太一はさりげなく未夢に助け船を出してあげた。未夢は嬉しそうに太一を見上げる。
「じゃ、行きましょうか。聞くまでもないだろうけど……覚悟……忘れないでね」
「絶対に、生きるって覚悟だろ?」
一馬は自信満々にそう答えた。
「ええ、行きましょう」
「むぅ……」
そんな二人の端から見たら入り込めない雰囲気にやはり未夢は納得のいかない様子。
でも他の三人が頂上へと歩を進め始めた為に未夢は慌てて追った。
頂上には巨大な球体があり、それが今にまも爆発しそうな感じで大きく鼓動している。
球体の中にはまるで人間のような形をしたものがたくさん閉じ込められていた。
「これが――人間の“狂気”の塊……」
「そう……私たちが人を殺して集めてきたものよ」
太一の呟いたことに亜由美はそう言い返す。
冷静な言い草は自分を責めているのかすら分からない、まるで他人事のようなものだった。
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