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「じゃあ俺は西に行く」
「じゃ未夢は南!!」
「必然的に僕は北という訳か」
三人はそれぞれの場所に向けて走って行った。
「後悔してる、か?」
「何故?」
ゼウスの静かなる問いに亜由美はただ冷静に答える。
「……こんなことになるなら、僕と“契約”するのではなかった……とそう思ってるんじゃないかってね」
ゼウスには珍しく言い淀む形――
「らしくないわね、」
亜由美は小さな笑みを返しながらゼウスにそう言った。
「……分かっている……らしくないことぐらい……」
「貴方が私を利用したことをまるで悔いているみたいよ?」
悪戯っぽい問いを亜由美はゼウスに向ける。
「……冗談言わないでくれ。むしろ君と出会えたことは僕の誇りだ」
賢明で真面目な答えがゼウスから返ってくる。
「……じゃ、どうしてそんなこと聞くの?」
ゼウスは亜由美の問いになかなか答えようとしなかった。
亜由美は決して急かさず、ただゼウスの言葉を待つ。
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