第二十六話

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「じゃあ俺は西に行く」 「じゃ未夢は南!!」 「必然的に僕は北という訳か」 三人はそれぞれの場所に向けて走って行った。 「後悔してる、か?」 「何故?」 ゼウスの静かなる問いに亜由美はただ冷静に答える。 「……こんなことになるなら、僕と“契約”するのではなかった……とそう思ってるんじゃないかってね」 ゼウスには珍しく言い淀む形―― 「らしくないわね、」 亜由美は小さな笑みを返しながらゼウスにそう言った。 「……分かっている……らしくないことぐらい……」 「貴方が私を利用したことをまるで悔いているみたいよ?」 悪戯っぽい問いを亜由美はゼウスに向ける。 「……冗談言わないでくれ。むしろ君と出会えたことは僕の誇りだ」 賢明で真面目な答えがゼウスから返ってくる。 「……じゃ、どうしてそんなこと聞くの?」 ゼウスは亜由美の問いになかなか答えようとしなかった。 亜由美は決して急かさず、ただゼウスの言葉を待つ。
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