第二十六話

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(まあ、未夢を傷つけたり泣かせたりしたら即刻半殺しの刑だけどね……高橋一馬) ニヤリと黒い笑みを浮かべながらアリスはそんなことを同時に考えていた。 「未夢、頑張っちゃうんだから!!」 今一度気合いの入った未夢はそう叫ぶと心術の力に更に集中力を込める。 「しかし、また厄介なことになったものだ」 ロディはそう言うものの心なしか嬉しそうに聞こえた。 「笑ってるように聞こえたぞ。今のは」 「……フ……なら、そうかもしれないな」 ロディは太一の言葉を否定しなかった。曖昧な返事を放つ。 「しかし、骨の折れる作業だぞ。コレは」 「骨で済むなら安いものだな」 ロディの言葉に太一は即座に返す。それはそうだろう…… だって失敗すればみんな死ぬのだから…… そうなれば、骨などでは済まされない。 「しかも力を使いきったあとに全力逃走だぞ?やれるのか?」 「やるしか、ないだろ」 やるか、やらないか選ぶのなら『やる』を選ぶしかない。太一は迷いなくそう言いきった。
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