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だが、少女の心にはいつもあの時の疑問が離れなかった。
“女の子”の時の想いがずっとずっと心の中に残っていた。
“なんで人は自分以外のものを食べたりするのに命を大切にしろって言うのかな?”
暗く灰色の曇天の空が街を支配している。
少女の心は暗く沈んでいた訳ではないが、疑問は晴れなかった。
(人は、本当に幸せなのかな?)
――答えが知りたいのか?
(?!)
突然、少女の心の中に声が響いた。
少女は驚き、辺りを見回す。
周りの人間たちが怪訝そうに少女を見ていたが、そんなのを気にしてる暇は少女にはない。
だが少女がいくら辺りを見回してもその声の主が見つかることはなかった。
やはり声は錯覚だったのかと感じて、少女は帰路につく足を早める。
「ただいま」
返事がかえって来ない。おかしい――この時間は母親はもう買い物から帰って来てるはず。
……プルルルルルルル……
見計らったかの如く、電話がなった。
「……もしもし」
少女は嫌な予感を頭に散らせながら、電話を取る。
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