プロローグ

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それからも日々は変わらなかった。 少女は両親がなくなって叔父と叔母に引き取られた。二人とも両親と同じぐらいによくしてくれて、少女も本当の家族のように接していた。 学校でも少女は今までと変わらない。少女は強かった。両親がなくなっても、真っ直ぐに生き続けた。 だけど、心の空白を埋めるものには何もならなかった。 自分は幸せだ。だけど、本当にこのままでいいのか?そんな疑問は日増しに強くなる一方。 自分が良ければ……それでいいのか?少女が目を向けていたのは、自分自身の幸せではなかった。 この世界は色んな苦しみに満ち溢れているのだろう。 きっと酷く汚れて荒んでいるのかもしれない。 人は上部だけを見て、物事を綺麗だと語ってしまう。 だけど人は綺麗より、汚いの方がずっとずっと多い。 自分がなぜこんなことを考えてしまうのか、少女には分からなかった。 誰しもが必ず幸せになれる訳がないことを少女だって分かっているつもりだ。 なのに、偽善だけでこんなことを考えてしまう自分は酷く滑稽だ。 ――力が欲しい―― ――知識が欲しい―― ――みんなを幸せにしたい――
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