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「生きるものがあるから、負の感情が生まれ続ける。こんな悲しい世界ならなくなってしまった方がいい――そう思ったから。だけど止められたんだ」
そこで一旦相棒は言葉を切った。少女は次の言葉をゆっくりと待つ。
「一番理解してくれると思った親友にね……」
「……?!まさか……それが……」
少女の脳裏にある可能性が過る。
「彼は僕のことを“間違ってる”って言った――“他に方法があるはずだ”と。
結局、彼に言われて僕は待った……
待ったけど“世界”は変わらなかった……
コレは僕のエゴなんだろう…
だけど、これが僕の答えだ」
真っ直ぐした相棒の答え。彼はこうすることでしか世界全てを救う方法がないことを知っていた。
「……皮肉だな……僕を止めようとした彼がまた僕たちの前に立ちふさがろうとしている。コレは、宿命なんだろう」
「……ゼウス、、、」
「……どうした?亜由美――」
少女の声色が決意の色へと変化する。
「この戦い、負けられないわ。貴方と、私の想いの為にも。このままじゃ人はみんな、同じ過ちを繰り返してしまうから」
「そうだな。でもそれは人だけじゃない」
少女とその相棒の声が濁った黄金色の空に交わされる。
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