プロローグ

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「始まる…」 今は23時53分 当然辺りは真っ暗 天候は雨 その中で男はそこに立っていた 「うっぷ… 飲みすぎちまったよ~ うぇ…」 酔っ払いの中年が千鳥足で橋を歩いていた 真ん中あたりに来たとき 橋の手すりの上に人がいることに気付いた 「おい兄ちゃん! そんなところに立ってたら危ねぇぞ」 「………」 男は無言のまま遠くを見つめ立ち尽くしていた 「兄ちゃん! 聞いて…」 「始まる……」 「え?」 言葉を遮られ聞き直したが雨に声がかき消される 「もうすぐ 始まる 100年に一度の…」 「あぁ? よく聞こえねぇよ」 耳に手を当てた酔っ払い男が言うと 「始まる ワクワクする… 今年は誰が勝つんだろ」 「兄ちゃ……っ!?」 手すりの上の男は不意に酔っ払い男に振り向きニッコリと笑った その顔は大人の中にいる子供が出てきたような 無邪気な笑い顔だった 体は細身で身長も高い 右の手首にはブレスレットがついていた 「始まる…」 そう言うとブレスレットが光りだし その光と共に男も消えた 酔っ払いの男がだけが 首を傾げながら雨にうたれていた…
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