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ギューと、数秒抱きしめると、安心したようで、玄関からあがり、ランドセルを降ろした。
こうして抱きしめるたびに、思い出す。
半月前に受けた手術の前夜、それまで気丈にしていたアストが「お母さん、死なないで!」って泣きべそかいたことを。
「大丈夫だよ。アストをおいて死なないから。」って布団の中で抱きしめたことを…。
「おやつにする?」
手術した腹部の傷が少々痛んだが、笑顔で聞いた。
「うん、ブラマンジェ!!」
大きな声が返ってきた。
アストが小学校2年生。
私が手術後、自宅療養していた時のことである。
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