―出逢い―

6/8
前へ
/12ページ
次へ
「あのさ」 「何?」 少し落ち着いた所で俺は話を切り出した。 「歌ってたのってキミ?」 「そうだよ。なんで?」 「俺の言葉じゃ言い表せないけど、とっても暖かくなったって言うか……心にグッと来た。俺は歌とかあんまり好きじゃないから、宛にはならないけどね。ってどうしたの!?」 俺が話している途中でその女の人はいきなり倒れた。ちゃっかり脇に抱えていたギターは、いつの間にか地面の上に置いてるけど。 「大丈夫か?」 俺は女の人の頭を抱えて自分の膝の上に乗せようとしたが、制服が濡れていることを思い出して、近くのベンチの上に寝かせた。勿論女の人が濡れないように気を付けながら。 何故かニット帽からはみ出した顔は真っ赤だ。風邪かな? アワワ…なんて言ってるし。 しばらくして女の人は顔を起こした。 顔の色はもとに戻っている。相変わらず顔は見えないけど。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加