―告 白―

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俺、逢沢天馬(アイザワテンマ)は今、放課後に屋上に女子に呼び出されるというレアな体験をしている。こんな事生まれてはじめてだ。 グラウンドでサッカー部がボールを蹴っている音が聞こえてくる。うちのサッカー部は結構強いらしい。そんなの知ったこっちゃ無いけど。 「私、好きなの」 目の前の幼なじみは意を決したのか、俺に愛の告白をして来た。 それが俺に向けての言葉だったらどれだけ嬉しいことか。 しかし現実はそう甘くない。 「そんなに好きなのか?悠斗のこと」 悠斗とは俺達の幼なじみ。昔からよく3人で遊んでいた。 「うん!だから…その…手伝ってくれない?」 私が悠斗に告白できるように。 目の前の幼なじみ、柊冬美は笑顔で答えた。 俺の気持ちなんか知らずに。お前の笑顔を見る度に俺の心が捩れるような痛みを覚えているのを知らずに。 その笑顔もアイツに向けられているんだよな。 俺がグラウンドの方に目をやると、桜井悠斗の姿が目に入った。 こんな駄目な俺とは違い、悠斗は高校一年にしてサッカー部のエースストライカー。月とスッポンぐらいの差がある。 ホント笑えてくるな。 「何がおかしいの?」 心配そうに冬美は俺の顔を覗きこんできた。 何がだって?そんなの、自分が好きな女の子に告白もしないで振られたからだろ? しかし俺にそんな事を言える勇気は無い。
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