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「別に?冬美はホントに悠斗の事愛してるんだなって思ってな」
「愛してるんだなんて、そんな……」
冬美は恥ずかしそうに下を向いた。
違うだろ俺。こんな事言いたいわけじゃないだろ俺。
俺は無理だ。手伝えない。ってはっきり言えよ。
「恥ずかしがんなよな。冬美らしくない。俺が手助けしてあげるからさ」
でも、そんな綺麗事しか俺は口にできない。口にできる勇気も覚悟もない。
ホント、馬鹿だよな。
こんなストレスが溜まるような関係なのに、現状に甘んじている自分がいる。
馬鹿だ。本当のことを言える勇気もなく、こんな現実に満足して。
「ありがとう。じゃあ私行くね」
「……ああ、またな」
笑顔で冬美は屋上を去っていった。
とても綺麗な笑顔で。それが俺には眩しすぎて。
俺の心臓をキリキリと痛め付ける。
ガシャンと屋上のフェンスに身体を預ける。
一体冬美はどんな気持ちで俺に自分の気持ちを伝えたんだ?
なんで俺なんだよ。他にも居ただろう。悠斗と仲が良い奴なんて。
「………くそッ」
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