6人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
沈みかけた夕日が俺を包む。
グラウンドでボールを蹴る音は煩い騒音にしか聞こえなかった。
右手を空に翳してみる。いつもは近くに感じる空もこの日は遠くに感じた。
なんで?
なんで?
なんで?
「なんでこうなるんだよォーー!!」
俺は吼えた。そしてフェンスを力の限り掴んだ。
運命なんて俺は信じない。
神様は残酷だ。どういう訳で俺をこんな運命にしたんだ?
そして頬に冷たい涙が滴り落ちた。
「誰だよ…涙が暖かいなんて言った奴は…」
涙なんて冷たいだけじゃないか。
その時俺の肩に雫が落ちてきた。
雨だ。
今は秋。季節の変わり目に降る雨。それは汚れた俺の心を洗い流しているかのようだった。
でもこんな雨じゃ俺の心を洗い流すことは出来ない。それほどまでに俺の心は汚れていた。
「ウォォーー!!」
ライオンが吠えた。自分の心が痛くて。それでもまだ、アイツの事が好きで。
そんな自分がとてつもない馬鹿だということに。
最初のコメントを投稿しよう!