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「……歌?」
まさかこんな廃墟で?いやあり得ないだろ。
しかし聴こえてくるのは確かに歌だ。でもこんな雨の日に?
「…悩んでも仕方ないか」
俺は恐る恐るその歌が聴こえる場所へ近付いていく。
決して怖いとか思ってなんかないぜ……多分(泣)
だって幽霊とかだったらヤバいでしょ?
やがてその歌が聴こえてくる場所へ近付く。
どうやら目の前の十字路を右に曲がったすぐの所から聴こえて来ているようだ。
その歌のメロディーはどこか切なくて、儚く、まるで今の俺の気持ちのように暗い。
そして何故か俺の心を締め付けてくる。冬美の告白を聞いたときのように。でもそんな嫌な締め付け方ではなくて、なんというか……きもちいい?
いや、俺がMな訳では無くて。
とにかく不思議な魅力を感じた。
そしてこんな綺麗な歌を歌うのは誰か気になった。
「……よし。やってやる」
意を決した俺は十字路を右に曲がった。この歌手の正体が幽霊じゃないなのを祈ろう(泣)
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