―出逢い―

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「……でも制服びしょ濡れだし」 「えっ?」 俺は自分の制服を見る。忘れていたが今の俺は雨でびしょ濡れ。 まあ。あれだ。 変態チック? …って、このまんまじゃ変態って事になるじゃん。それは避けたい。 「いやー。いきなり降ってきてね。傘持ってなくてこのザマだ。ハッハッハ……」 俺は笑って誤魔化す事にした。そしてちゃっかり制服の裾を絞る。 そしたら目の前の女の人は肩を揺らして笑い始めた。 俺のことを馬鹿にしていらっしゃるのですかね? 「キミ面白いね。なんか、可愛いよそれ」 その人は綺麗な指で俺の制服を指差した。 可愛いとはこの制服の裾を絞っている事を言っているらしい。 「って、コレ可愛いのか?」 「充分可愛いよ」 「…ま、感じ方は人それぞれだよな」 「…なんか失礼だね。こっちは褒めてるのに」 「馬鹿にしてるの間違いだろ?」 「ホントだってばぁー」 「いや、俺は騙されない」 「素直に喜べば良いのに」 俺たちは目を合わせて笑った。雨のじめじめした湿気も二人で吹き飛ばすくらい大袈裟に。 本気で笑ったのは久しぶりな気がする。何と言うか……、とても清々しい気持ちになった。
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