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少女の朝はこの「毒盛り」から始まるといっても過言ではない。
もともと、朝食と同時に持って行くスープは、継母たちの好みでピリ唐にしてあったし、汚い水を多少入れたところで味に変化は現れない。
少女はすべて計算している。
料理する材料は、自分のもの以外一か月も昔に買ってきた物を使っていたし、パンなどに至ってはカビが少々生えてきた物を部分的に切り落とし、匂いがしないようにとガーリックトーストなどにしてカモフラージュしている。
家の掃除に至っては、自分の部屋や自分が歩く通路を細かく掃き、継母たちの部屋にまで持って行ったあとでゴルフのスイングを真似てゴミを散らばし、それを適当に拭き取っただけである。
洗濯物は、もちろん自分の衣服以外は洗剤など使わずに水に浸しておくだけである。
少女はいつも思う。
わたしの家族は余程健康なのね、と。
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